奥村和之氏の〈作品の〉面白さは、純粋な童話(メルヘン)の寓話が表現されていることであろう。
加えて、すべてにつらなるお伽噺――夜のつれづれをなぐさめるために語られる話――が展開されている。
しかも、そのレベルは図抜けて高い。
古代や中世の世界、まだ見ぬユートピアが、実に豊富に濃厚に、脈々と詰め込まれているのだ。
彼の作品=ステンドグラスの光を目にした人は、瞬時にその輝きに魅了され、肩の力が抜けるであろう。
経験者は語る、である。
これほどの癒しの広さ、深さ、多様な効能を持つステンドグラスの作家は、世界広しといえども、そうざらにはいないに違いない。
筆者(私)は奥村和之氏の作品に、魂の救われる思いを常に抱いている。
(了)
東京都 歴史家・作家 加來 耕三 氏